「あのぅ……。」
「なんだ?」
「少し、いいですか?」
「おう。いいぞ。」
ルドウィンは美少女3人を引き連れて歩いていて、後ろの女性が聞いてきた。
「本当にこの道であっているのですか?」
「……。」
この言葉に黙ってしまった。
迷子。
一言で今の状況を説明するなら、この言葉だ。
ここはどこかわからない。
見渡す限り荒野、荒野、荒野。
そして、ちらほら見える、徘徊する化け物達。
地上には化け物がたくさんいる。
化け物は黒い影のような人型のモンスターだ。
さっき、もしかしてと思って、そこら辺にいる1体の化け物に話しかけてみたが、言葉は通じず、化け物が襲ってきただけだった。
だったら、空に能力で浮いて探せば良いじゃないか。そう思う人はいるだろうか?
それで解決するほど甘くない。
ここは言ってみれば敵地。スパイがこんな目立つ方法で侵入しては一発でバレる。
どこに敵が潜んでいるかわからない。
つまり、解決策がなく、完全に詰んでいる。
こうなった原因は、数時間前に遡る。
数時間前、ルドウィンは、天空要塞火の国にいた。
天界から地上を見ても、雲が邪魔で地上が見えなかった。
だから、図書館で地上の地理に関する本を探し、情報収集しようかと考えていたら、あの猫(ティルシー)が、
「うだうだ考えても仕方ないにゃ!男は黙って!飛び込むにゃ!!!」
そう言って天空要塞から下を眺めていたルドウィンと、他美女3人とともに天空から飛び込んだ。
ちなみに、落下直前に能力を発動して落下のダメージは軽減させた。
そして、今に至る。
「ティルシー何か言うことあるか?」
「え。えと……まさかこんなことになるにゃんて……」
そう言ってティルシーはてへぺろをした。
いや。可愛いけれども。これで4人が路頭に迷ったら洒落にならない。可愛いけれども!
異世界生活がこんなふうに終わるとは……誰も予想できないだろうな。
自傷的な笑みを浮かべるルドウィンに、話しかける女性がいた。
「ルドウィン殿!」
4人の中で一番元気、リリアリーだ。
「解決できる方法がありますよ!」
「!?なんだ!言ってみろ!」
ルドウィンは、藁(わら)をも縋(すが)るように、リリアリーの言葉を待った。
「浮遊するのがダメなのであれば、跳躍してみれば、どうでしょう!!」
「?」
ルドウィンは少し言葉の意味を理解するのに時間がかかった。
「えと?跳躍?飛ぶのか?」
「ええ!飛べば一瞬しか宙にいないので、見つかる可能性は減るかと。」
ええ……?そんなことが可能なのか?できたら人間ではないぞ?
いや、そう言えばリリアリーはソルジャー国の人間。ソルジャー国の強靭な肉体ならもしかして……。
「頼めるか!?リリアリー!」
「ガッテン承知!」
「いけ!リリアリー!!」
「うおおおお!!」
リリアリーは脚に全ての力を溜め込んでいるかのように限界まで屈み、そして……!
「じゃーーんぷ!!」
リリアリーの掛け声と共にリリアリーは100メートルほどのたかさへと一直線に跳躍した。
「マジかよ……異世界なんでもありかよ……。(小声)」
「あ、みえますー!」
「!なんか見えたか!?リリアリー!!」
「この方角の先に村が見えますよ!ルドウィン殿!!」
喜んでぴょんぴょん跳ねるリリアリーは、少し……可愛かった。
「ああ、まず、その村へいこう!!」
こうしてルドウィン達は、異世界最初の村へと向かったのであった。
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